2025年6月2日
属人的株式の活用

当法人は、株式会社事業承継センターと業務提携を行っております。去る5月29日には、同センターの金子代表が神戸に来られ、来月より開講する後継者塾や、最近の事業承継の動向について意見交換を行いました。

金子代表は、全国各地で事業承継に関するセミナーを開催しており、今回はその中でも注目を集めているテーマのひとつである「属人的株式の活用」についてご紹介します。

属人的株式で実現するサラリーマン後継者に負担を極力かけさせないで、権限だけを持たせる方法

最近多いご相談が、「うちは代々(血のつながっていない)従業員が社長を交代制でするパターンだから、なるべく株式を保有させたくない。でも、社長をやる上で権限は持たせたいがいい方法はあるのか?」というものです。

さて、いい方法はないかと考えてみて、「そうだ、まずは生成AIに聞いてみよう!」ということで、出てきた答えは、以下のものでした。

「リーダー中心型(例えば:1人が30%、他は11.7% × 6名)

実質的な代表者・リーダーに多めに譲渡

他のメンバーは少なめ

【メリット】意思決定の機動性・経営統率力あり

【デメリット】格差に対する不満の火種になる可能性

イラスト付きには驚きましたが、なかなかいい案です。

しかし、この案だと、リーダーの保有する株式は一人だけ30%となるため、原則的評価方法という親子間で使われる株価算定方式を使わなければならないため、例え30%といえども、負担感が大きくなってしまいます。

(他の6人は配当還元価額方式という極めて安い株価算定方式でよい)しかも、議決権は3分の1未満なので、かなり心もとないです。

 

だが、生成AIくん!なかなかいい回答だよと思いつつ、やはり私の方がはるかに上か?と悦に浸ってて導き出した回答は、7人全員に14.3%ずつの株式を均等に持たせます。そして、リーダーの持株だけを属人的株式に変更し、10倍するというものです。

属人的株式とは、「保有している当人が例えば代表取締役という地位にいる間だけ議決権を10倍にする」という取り決めをしておくことによって、代表取締役の地位から降りた時に、通常の議決権数に戻る、という設計をする株式となります。

ですから、議決権数の推移は、下記になります。

(分かり易くするためにシェアではなく個数に置き換え)

これだと、金銭的負担は他の6名で同じでありながら権限だけは10倍持つことが可能となります。

もちろん、議決権を発動するのはよほどのことがない限りはないでしょうが、ある意味安心感にも繋がり、リーダーシップを保てることになります。

しかも、登記は不要としていますので、コストもかからず、外部から知られることもありません。

 

この属人的株式、実際に採用している会社はそれほど多くはなく、ごくごく一部の会社にしか導入されていませんが、その理由は、“単に知らない”だけじゃないかと最近ふと考えました。

もし、導入したい方がいらっしゃれば、弊社までご連絡を頂ければと思います。         

執筆者】事業承継センター株式会社
代表取締役 金子一徳



一般社団法人兵庫事業承継サポート


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