親族外承継Unrelated
親族外承継では対立軸が多くなる!?
後継者
- 「退職金は最小限にして」
→そんな高額を取るなんてひどい - 「株式は安く譲ってほしい」
→タダでもらえるんじゃないの? - 「連帯保証人になりたくない」
→家族に説明がつかないしなりたくない
経営者
- 「退職金たくさんほしい」
→休日返上で家庭を犠牲にしてきた代償はもらいたい! - 「株式も高く買ってほしい」
→お金がないのは分かっているが
中小企業は、個人と会社が一体となっています。親族承継であれば、相続の時に丸ごと子供達が継ぐので、対立がおきにくいですが、親族外承継ではそういう訳にはいきません。例えば、退職金:経営者は、休日返上で働いてきたので多くもらいたいと思ったりしますが、後継者はこれからの会社の資金繰り等を考えると、余りとらないで欲しいと思ってしまいます。例えば、株式:経営者は、高く買ってもらいたいですが、後継者はそんな余裕がないのが実際のところです。例えば、経営保証:どちらも受けたくありません。そのように、経営者・後継者には対立軸がありますので、間に入って調整する人が必要になります。その専門家が「事業承継士」というわけです。
事業承継の話を機に、従業員は後継者となり、形上、社長と対等になりますが、今迄の主従の関係は全くなしというわけにはいきません。なかなか本音は言いにくいところはあります。また、社長と後継者は、遠慮と情けでまとまろうとしても、それぞれの家族の思惑や欲が絡んできます。本人は良くても家族が納得しないとまとまりません。正直な気持ちをつかみ取り、知らせるべきこと、知らせてはいけないことを切り分けながら、まとめていく専門家(事業承継士)が必要です。
一体となった会社と個人の財産を、事業承継を機に、切り分ける必要があります。会社の土地・建物が個人の名義の場合、会社に譲渡すると多額の税金がかかることがあるので、どちらに寄せるか専門的見地から検討する必要があります。また、個人から見れば二束三文にもならない工具や備品、そして顧客名簿等は、会社にとって宝の山で、どのように受け継いでいくかとても重要な問題です。このようなハード/ソフトの引継ぎは、テクニックが必要です。
社長に言われて、従業員が後継者になること”はい”と言ったとしても、経営を引き継ぐことの本当の意味を理解している人は、ほとんどいません。株式を取得するときにたくさんのお金がかかること、ン千万円という経営者保証を引き受けること、これらを聞いた瞬間、後継者のモチベーションは一気に下がるおそれがあります。従業員後継者は、所詮サラリーマンであることを心得、資金面で助けてあげられるのは経営者か金融機関であることを十分理解して対応していかなければなりません。
後継者になることを従業員が承諾しても、従業員の奥様が反対するケースがあります。もしかしたら、キーマンは、従業員よりも、従業員の奥様かもしれません。また、経営者の奥様は、子供に対する愛情は、夫(経営者)以上で、子供に継がせることを諦めきれないことがあったりします。もしかしたら、経営者の奥様が難敵かもしれません。事業承継士がお手伝いして事業承継説明会を開催し、将来について分かり易く、熱意をもって話すと、意外と理解してもらえます。こんなこともご相談ください。
後継者候補はいないと思っていたが、意外と身近にいたという話はよく聞きます。社内・社外を広く探索してみましょう。「あっ、この人だったらいけるね」能ある鷹は爪を隠しています。ここで注意してもらいたいのは、複数候補を競わせないこと。負けた方の不平不満は、思っていた以上に引きづります。後継者選定は、一本釣りが上手くいくケースが多いです。こんなこともご相談ください。
従業員は、そんなたくさんのお金は出せないという人がほとんどです。というわけで、金融機関からの融資が必要になってきます。後継者が金融機関に説明できない事業承継計画では上手く進みません。既存融資の一本化で凌げるケースも多かったりします。連帯保証人の引継ぎをスムーズに行うなら、社長交代時に、新社長が新たな借入を起こすのも一つ方法です。こんなこともご相談ください。
事業承継をスタートしてから完了するには、一定程度の時間がかかります。スタートした時に、社長が万が一の場合の対処策を考えておくことも必要です。死因贈与契約や遺言による遺贈など、計画途中での死亡リスクを考慮しておくと、後継者は安心します。また、リスクを減らす為、会社の土地建物を長期賃貸借契約に切り替えることも一つの方法です。こんなこともご相談ください。
会社は、法令上は株主のものです。親族内承継は、一般的に株式を譲渡又は相続して、後継者が「株主=経営者」というパターンになりますが、親族外承継(従業員承継)は、次のように様々なパターンが想定されます。