債務超過の事業者・法人だからと事業承継をしないと決めつけていませんか。
債務超過の場合に、個人事業主と法人で多様な取り得る手段があり、その中には事業継続が可能な再建型の手続きがあります。これらの手続きを活用し、再建した上で事業承継を行うのかあるいは破産等の清精算手続きを行うのかを検討すべきではないでしょうか。
中小企業で活用される清算型の手続きのうち、個人事業であれば「小規模個人再生」、法人であれば、「民事再生」の活用が考えられます。いずれの手続きも、事業を継続しながら、概ね5分の1~10分の1に圧縮した債権を3年程度で返済し、再建していくというものです。
また、債権者という異なる観点から、破産の「債権者申立」が可能です。これは、債務者が通常破産の申立てを行いますが、債権者が破産の申立てを行うというものです。これは、①債務者による不当な資産処分を回避したり、②財産隠匿の可能性のある事案、③不良債権を損金処理し、節税、自己資本比率を改善する等の目的で行われるものです。
さらに、不在者の相続に関して、不在者財産管理人・相続財産管理人の制度を紹介します。
これらはよく似た制度で混同しやすいのですが、「不在者財産管理人」制度は、行方不明者の財産を管理する制度で、「相続財産管理人」制度は、相続人が存在しない場合に財産を管理する制度です。
相続財産管理人制度の「相続人が存在しない」というのは行方不明の場合ではなく、①法定相続人がいない、②相続人が全員相続放棄した等のケースです。このような場合に債権者が相続財産から返済を受けたい場合や生前に特別に縁故がある者が財産分与を受けたい等の理由で、申し立てられる制度です。
不在者財産管理人の制度は、①相続人の一人が行方不明で遺産分割協議ができない場合や、②債務者が行方不明の場合等に申し立てられる制度です。
不在者の相続に関してはこれらの制度を活用して債権回収等を行うことが可能です。
【執筆者】弁護士 北江康親
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